定住族か、転勤族か

私は会社という名の村に属している。この村はとても広い。その気になれば全国に移りゆくことができる。だから私には定住以外にも転勤族という選択肢がある。

さて定住と転勤、どちらが良いのであろうか。

私は定住を良しとしてきた。なぜならスポットとは広く浅く味わうものではなく、狭く深く味わうものだからだ。私のこの仮説は正しかったと確信している。たかが一都道府県の、一市町村でさえもまだまだ遊び尽くせていないのだから。それにこのまま一生ここで過ごすのも普通にアリだと考えている。だからこそ転勤というアイデアが今まで出てこなかった。

さて、せっかく出てきたのだから、検討してみようじゃないか。

……待てよ。そもそも転勤族であることは、イコール広く浅く味わうことになるのだろうか?市町村Aで深く味わい、ある程度満足したところで転勤して、市町村Bでまた味わう……このような繰り返しは可能ではないか?つまり狭く深く味わうことのリピートである。

もちろんトレーサー歴1年の時に味わうことと、歴10年の時に味わうこととではまるで意味合いが違う。後者は前者ほど濃密ではない。実際私は数ヶ月も住んでいないのに雪国パルクールを諦めている(木でしか遊べない)が、それは10年の経験があるからこそ判断できることなのだ。

なるほど。つまり私は 転勤族になる前にまずは他に深く遊べそうな世界があるかを調べねばなるまい。見つかったら、それらがある地域に転勤すればいいのだ。もちろんあえて調べずに、住んでみてからのお楽しみで先に転勤するやり方もあるが、経験的にそれが実る率は高くない。日本は広大だが、スポットの多様性までは広大ではないのだ(というより私に広大だと見出せるほどの眼と発想がないだけだろうが)。